「コスパがいい」と話題になり国内でシェアを一気に拡大したGoogle Pixelですが、今までGoogleは「コスパ」をアピールしたことはありません。また他社は半導体不足や世界的なインフレの影響からも値上げをする中で、Googleは値下げをしたのではなく値上げを回避した結果他社より安く注目されるようになったと捉えることが出来ます。
一方でここ数年でみるとiPhoneやGalaxyと同程度の価格設定となっており、以前のような安さはありません。なのでよく言われることの一つとしてぼったくりなのではないのか？
むしろ赤字の可能性。
iPhoneやGalaxyと同価格帯になったことで価格が高すぎると指摘されていることが多々あり、Googleは利益重視に走ったとも言われています。
| 年間の出荷台数 | |
| 1000万台前後 | |
| iPhone | 2億2000万台前後 |
| Galaxy | 2億5000万台前後 |
まず製品を製造する上で、「規模の経済」があるため製造台数が多ければ多いほどコストを抑制することが出来ます。Googleに関してはようやくaシリーズ含めて1000万台を突破した感じですが、SamsungはGalaxy S24シリーズだけでも3500万台近く売れたと言われています。
そしてAppleでみるとiPhone 16 Pro Maxは四半期で1500万台以上売れたと言われており、Googleより圧倒的に製造台数も多ければ出荷台数も多いです。このことを考えると単純に考えればGalaxyやiPhoneより安い価格設定に出来ているだけでもすごいということになります。
SonyのようにむしろGalaxyやiPhoneより高くなるのが正常なのかなと思います。
プロモーションも派手。
またGoogle StoreにおいてGoogleは年に数回大型セールを開催してGoogle Pixelが安く購入できる環境を提供しています。ちなみにSamsungは最近セールをやるようになってきましたがAppleに関してはほぼしません。
その中でGoogle Storeにおけるセールは派手で「下取り」と「ストアポイント」を大幅に強化する上で、セールによっては直接値引きも行います。ちなみにPixel 10シリーズの購入キャンペーンの時は19万円近くするPixel 10 Pro XLが実質5万円くらいで購入することが可能でした。
つまり販促費にもかなりお金をかけていることを考えると、製品自体で仮に利益が出ていたとしても全体でみれば大赤字になっている可能性は十分にありえます。むしろ開発費込みでみればハードだけでも赤字の可能性があります。
ただ少しでも安く提供したいと頑張っているからこそiPhoneやGalaxyと同程度の価格帯に踏みとどまってくれているのかもしれません。
高く見える原因。
そしてGoogle Pixelが高く見えてしまう理由の一つとしてここ数年の値上げにユーザーが追いついていないからとの指摘もあります。例えばPixel 6は発売当時7万4800円だったのがPixel 9では11万9900円と僅か3年で5万円近く値上がりしています。
世代を重ねるごとにアメリカ現地で値上げが行われていることに加え、国内価格に関しては為替に対して割と忠実になったことからも一気に高くなったように見えます。
今やミドルレンジモデルでも8万円近くの価格設定になっており、最上位モデルであれば20万円近くします。一方で2019年頃でみれば10万円を超えるスマホなんてほとんどなかったことを考えると6年くらいで価格が2倍近くになっています。
そのため価格に対する価値観が追いつかない状態になっており、いまだに10万円を基準にコスパがいいか判断されるのも、その一つなのかなと思います。もちろん安いことに越したことはないですが、今後もじわじわと値上げが続いていく可能性があり、それこそ今は円安に動いているから尚更です。
値上がりに対して進化を感じられない。
またPixel 6からPixel 9でみると3年で5万円近くの値上がりをしていますが、一方でユーザーにとって分かりやすい進化をしているかと言えば別の話になります。少なくともオタク目線でみれば十分な進化を遂げていると思いますが、一方で一般層からすれば分かりにくい進化だからこそ単純に高くなっただけと見えるのかなと思います。
またパフォーマンスの指標としてベンチマークスコアを鵜呑みにするユーザーが多く、Google Tensorのベンチマークはここ数年ほとんどスコアが変わっていないことから歴代Pixelと比較しても他社と比較してもコスパが悪いと評価されがちなのも原因かもしれません。
まだまだ一般層に馴染みがあるとはいえないAIに尽力していることに加え、ユーザーの価値観がインフレに対応しきれないことが重なってPixelは余計に高く見えてしまうのかなと思います。
一方で先ほどの話と重複しますが、PixelはGoogle Storeでセール時に大幅値引きになることからも定価があってないようなものです。むしろセールを最大限活かせば他社より圧倒的に安く購入できると思います。
なのでPixelはぼったくりではなく値引き前提の価格設計になっているのかなと思います。
