Googleの方向性は正しい。AIの「オフライン処理」が重要である理由

GoogleはGoogle Pixel 10シリーズの正式発表の際に「Google Tensor G5」にも言及。ただ他社のようにCPUやGPUのパフォーマンス改善をアピールするのではなく「TPU」が前モデル対比で60%改善したことに加え、オフライン処理ができるAI機能が20個以上あることをアピールした感じです。

そのためGoogleにとって「Google Tensor」の進化はAIのためであると判断することができ、ゲームパフォーマンスやGPU性能を高めるためではないことがより明確になった印象を受けます。

一方で多くのAIは「オンライン処理」で動作しているのも事実。その中でAndroid Authorityは「オフライン処理」が重要である理由について言及しています。

オンライン処理の重要性。

Googleと同じくSamsungも「Galaxy AI」に力を入れていますが現状だとオンライン処理とオフライン処理の比率は半々程度、もしくはオンライン処理の方が多い印象を受けます。

ただこれは当たり前なのかもしれませんが、より高度なタスクを求める場合はより高度な言語モデルを利用できるオンライン処理の方が有利です。一方でなぜGoogleなどは「オフライン処理」に力を入れるのか。

今回ARMのChris Bergey氏がオフライン処理の重要性を明らかにしたとしています。

通信環境に影響を受けない。

まず一つ目として「シーン」を問わずAIを使えることが重要だとしています。

大手携帯電話メーカーとの会話で、AIが主要なユーザーインターフェースとなるには、高速道路で携帯電話の電波が届かない場所でも絶対に失敗してはならないと主張されたエピソードを共有しました。

少なくとも自分が使いたいと思うタイミングでAIが使えなかったということが数回重ねるとユーザーは使わなくなると指摘しています。現状だと例えば飛行機の中でも使えるように「リアルタイム翻訳」などはオフライン処理です。

ただ今後AIの機能が多様化してくる中でシーンを選ばずに使えるとなるかが一般化する上でも重要になるとしています。

コストの問題。

そして2つ目として「コスト」の問題だと指摘しています。スマホが個々に実装しているAIであれば基本追加料金は発生しませんが、より高度なAIを使いたいとなれば「Google AI Pro」のようなサブスクも用意されています。

AIエージェント(NPC)をクラウド経由で実装すると、月末にトークン使用料の膨大な請求が来るのではと恐れる開発者がいるのだ。コストが低く予測可能であることが保証されて初めて、彼らは安心して進められる。

結局より高度なAIを使いたいとなった時に「コスト」の問題は切実です。少なくとも「定額制」ならまだしも、ユーザーがより安心して使えるようにするためにもオフライン処理にするのはユーザーにとって分かりやすいと指摘しています。

ゲームとAI

また同氏は今後のゲームにおけるAIについても言及しており、デスクトップパソコンとモバイルではAIに求められることが大きく異なるとしています。ニューラルグラフィックスにおいてNVIDIAカードを搭載したパソコンであればアップスケーリングやフレームレート向上にAIが使われるとしています。

一方でモバイルに関してはAIを活用することで消費電力を抑制することが主軸になっていると指摘しています。

スーパーサンプリングやニューラルレイノイズ除去といった技術を用いることで、モバイルGPUはバッテリーを1時間で消耗させることなく、高精細な体験を提供できる。

何よりゲーム体験一つでも「オフライン処理」がより強化されれば今後変わってくる可能性があるとしています。

今後のAI

そして同氏によれば2026年に向けてハイブリットAIモデルへの移行を予測しています。

クラウドがトレーニングと大規模モデルを処理する一方で、「見えないAI」——カレンダーを管理したりニーズを予測したりする環境コンピューティング——は速度とプライバシーを確保するため、エッジに存在しなければならない。

一方でやはりオフライン処理で重要になってくるのはスマホ自体のパフォーマンスで、より高度なタスクを処理させようとすれば発熱と電池持ちの問題を抱えることになるとしています。

現状でARメガネなど「フェイシャルコンピューティングに未来を見据える一方で発熱や電池持ちの問題を解決するのが困難だと指摘しています。少なくともGoogleとしては今後よりオフライン処理でありながらも高度な言語モデルを動作できるように強化していくのかなと思います。

現状だと「Gemini Nano」を統合していますが、いずれは「Gemini Pro」がもっとPixelにとって身近な存在になるのかもしれません。そして仮に動画ブーストがオフライン処理を出来るようになるのであれば、GoogleのAIが一段階進んだことになるのかなと思います。