Google Pixel 10シリーズに対するコメントを見ていると分かりやすいですが、「AI」に対して否定的な声が圧倒的に多いです。「AI」と聞くとハードルが高く、何か特別なものに感じますが、結局スマホレベルでみれば最新世代が対応する「新機能」の一つに過ぎない印象です。
なのでざっくりと言ってしまえば「新機能」よりも「ゲーム性能」を充実させろというのがPixel 10シリーズにある多くの批判ということになります。またAIなんてそもそも使っていないとの声もあります。
では本当にAIをスマホで使っていないのか?
機能的な側面が強い。

Google AIにしろGalaxy AIにしろ、現時点でスマホに実装されているAIの多くは「機能的」な側面が非常に強いと思います。そのため使うか/使わないかの2択になることが多く、使わない人からすればAIよりも発熱抑制や電池持ちの改善を優先して欲しいという気持ちも分かります。
ただこの現状に対してGoogleも課題だと思っているからこそ「マジックサジェスト」のような機能が出てきたという感じです。2025年初頭に登場したGalaxy S25シリーズで革新的な部分としては複数のアプリに対して一度で指示ができるようになった「クロスアプリ」機能だと思います。
今までは1回の指示で1個のことしかできない感じでした。ただクロスアプリに対応したことで例えば、「全米オープンの日程を調べてカレンダーに登録して」と、日程を調べるという動作とカレンダーに登録するという動作を同時に指示することが可能になりました。
またマジックサジェストはユーザーの行動に合わせてAIが架け橋になってくれる機能です。例えばメッセージアプリで連絡している時に、カレンダーに登録されている情報を表示するか?とアドバイスをくれる感じで、従来であれば一度カレンダーアプリを開いて日程を確認してからメッセージに入力する流れでしたが、マジックサジェストがカレンダーを確認するというステップを飛ばしてくれる感じです。
AI普及で何が変わるのか。

もちろん搭載するSoCのパフォーマンスにも影響されるため、直近でどうこうならない可能性があります。ただAIがアプリを超えて管理できるようになれば、そもそも現時点では別々に存在しているアプリを統合できる可能性があるとの推測もあります。
もちろんAIで全てをカバーできるわけではないので全てのアプリがなくなることはないと思いますが、例えばメール/電話/メッセージなど標準搭載されている基礎アプリは今後一つに統合されてもおかしくないです。
ユーザーとしてはAI経由で指示すれば、あとは勝手にやってくれる流れになる可能性があり、ユーザビリティはかなり改善する可能性があります。
AIを使っていないことはあるのか?

そして日常的にスマホを使う上でAIを使っていないことはあるのか。正直に言えばユーザーの使い方次第の面が強いと思います。少なくとも今のAIであれば機能的な側面が強いため、ほとんどを使っていないと思う人もいるかもしれません。
ただ実際に使っているかどうかは機種次第だと思います。例えば一部Xperiaが実装しているXperia intelligenceは機能的な側面がGoogleやSamsungと比較して弱く、音楽を聴いたり、動画を観たりする時にAIで調整されています。
なので普段何気なく使っている時にAIの恩恵を受けていることになります。
分かりやすいのはカメラ。

今はアピールするためなのか「AI」という言葉を使うメーカーが多いですが、カメラに関してはAIという言葉が一般化する前から使われていた感じです。ちょっと調べた感じだと今のAIの前身ともいえるのが「計算写真」です。
例えばマルチフレーム合成や手ぶれ補正の強化などはAIの全身が行なっていたとと言われており、AIの始まりと言われるのが2017年前後と言われています。Pixel 2シリーズの頃で、シーン認識や被写体認識やポートレートモードなどAIが使われるようになっています。
PixelのAIといえば消しゴムマジックやカメラコーチなどがありますが、写真を一枚撮るだけでも画像処理にAIが使われています。スマホのカメラを全く使わないなら別の話ですが、知らず知らずAIの恩恵を受けていることが多いのかなと思います。
メーカーとしては分かりやすくするために「AI」という言葉を使っている感じで、実際にはかなり前から同様の技術が採用されている感じです。ただAIという言葉を使うことでユーザーの心理的ハードルが高くなっているのも事実に感じます。