市場が黎明期の時と比較すると、今のフラッグシップモデルの進化はわかりにくいと思います。ハードの進化は「細部」が中心になっているからこそ分かりにくい。また黎明期と比較してビルド品質が安定したからこそ長く使えるようになりました。
だからこそメーカーは「ソフト」の開発に力を入れている印象を受けます。そしてここ数年でみるとトレンドになっているのが「AI」と「アップデートサポート」かなと思います。
すでにGalaxyやPixelの一部機種は最大7年に対応していますが、これ以上伸ばす必要はあるのか。
拡張によるメリット。

まずアップデートサポート期間が拡張されて発生するメリットは以下のようになります。
| メリット |
| セキュリティパッチをより長く最新の状態を維持することが出来るので「安心」して使える。 |
| 長く使える機種は中古市場での価値が落ちにくい(より高く売れる) |
| ユーザーは同じ機種を長く使うことが可能になる(買い替え頻度が減少してスマホへの投資額が減る) |
すごくざっくりと言えば、長く使えるようになるので買い替え頻度が減って節約ができることになります。また7年とかになると自分で3年使って子供に4年とか、お下がり的な使い方も出来るようになるかもしれません。
メーカー側のメリット。

一方でメーカー側にもアップデートサポート期間を拡張することによって以下のようなメリットが発生するのかなと思います。
| メリット(メーカー) |
| 長期サポートによってユーザーを囲い込みしやすくなる |
| EUなどアップデートサポートに対する規制に対応しやすくなる |
| 長期ユーザーに対してサブスクなど新たな収益構造を発生させやすくなる可能性がある |
メーカーからすれば、どれだけユーザーを囲い込めるかが一番重要な部分になってくるのかなと思います。
拡張によるデメリット。

次にアップデートサポート期間の拡張によるデメリットを確認していきたいと思いますが、一つ目としてはコストが増加することです。ちなみに噂に過ぎませんがSamsungほどラインナップが多いメーカーだと、アップデートサポートを1年延ばすだけでも数億円はコストが増加するとも言われています。
当たり前の話ですがコストが増加すれば本体価格に反映される可能性があります。またキャリアモデルに関してはアップデートの回数を減らすことによってコストを下げてくる可能性があり、XiaomiやOppoなどを見ると分かりやすいですがグローバルと共通のファームウェアを採用することでコストカットする可能性。
つまりおサイフケータイなどローカライズした際に、アップデートサポート期間はコストの問題からグローバルモデルと比較して短くなる可能性もあります。
長期間使えるかはユーザー次第。

また一般層のイメージと乖離している部分としてアップデートサポートが最大7年に対応したからといって、7年間快適に使えるかは別の話になることです。もちろんユーザーの使い方次第ですが、よほど神経質に使う、もしくは寛容ではない限り7年もバッテリーは持たないと思います。
なのでどこかしらのタイミングで「修理」は必要になる可能性があります。メーカーもビルド品質の改善に力を入れているとはいえ、流石に限界があるので、ユーザーからすれば劣化を感じてきた時に修理をするか買い替えを選択する流れになり、「修理」を選択しない限り7年という長期間を使うのは難しいと思います。
日本市場において機種変更サイクルは4.5年と言われているので、平均でみれば2.5年分のコストを使いもしないのに余計にコストを払っていると考えることも出来ます。
アップデートの細分化。

そしてもう一つはメーカー側の都合とも言えますが、最新機種と7年前の機種である程度アップデートの内容を共通化しようとなった時に、一つあたりのアップデートの内容は薄くなる可能性があります。
そもそも1年型落ちの機種と最新機種でもアップデートの内容に違いあることからも全く同じにすることは無理です。とはいえ露骨に差がありすぎると古い機種を使っているユーザーからすれば不満の声になりがちです。
このことを考えると最低限の部分はある程度平等にと考えると内容が薄くなります。また最新機種と7年前の機種ではハードも全然違います。そして古い機種ほどスペックが弱いのでソフト部分があまり重くなってしまうと挙動が不安定になるリスクもあります。
このことを考えると今までと比較してアップデートの内容は薄くなるかもしれません。
これ以上伸ばす必要はない。

もちろんユーザーからすれば長く使えた方がいいかなとは思いますが、個人的には7年以上に拡張する必要があるのかは正直疑問です。結局アップデートの内容が完全に平等ではないことに加え、コストも増加して本体価格が高くなるのであればデメリット部分が増えてくるのかなと思います。
一方でコストのことを考えるとSonyはよく上位モデルと同じくXperia 10Ⅶで最大6年のアップデートサポートに対応したと思います。あと個人的に気になる部分として多くのユーザーは「メジャーアップデート」と「セキュリティアップデート」のどちらを重要視しているのか。
単純に長く使えるという部分では「セキュリティアップデート」のみで十分ですが、そうなると新機能は増えにくくなります。何より表面的にサポート期間を競争のために伸ばすことだけはやめてほしいところです。