コンセプトと真逆。このままPixelは安売りを継続しても問題がないのか

Google Pixel 6シリーズの頃からGoogle Storeにおいてプロモーションがより強化された印象を受けます。キャンペーン期間中のみとはいえ下取りを大幅に強化した上で、ストアクレジットを付与することでユーザーの実質負担金を抑制。

またストアクレジットはGoogle Storeでしか使えないことからもGoogleとしてはユーザーの囲い込みの狙いもあると思います。単純にユーザーからすれば「安く」購入することができるのでメリットが多いですが、Googleにはどのようなデメリットがあるのか?

プレミアム部門を強化しても。。

まず一つ目としてのデメリットとしては「安く購入できるスマホ」というイメージが定着してしまうことです。またGoogleがどんなにプロモーションを強化したとしても実質価格ではなく「定価」で判断するユーザーが多いこと。

その結果Pixel 10シリーズなどセール期間中の実質価格はかなり安いのに定価は高いことから、ブランドイメージの「安く購入できるスマホ」と大きく乖離して興味を持つユーザーが限定的になってしまう可能性があります。

またセール期間中に極端に安くなることからもセール以外で購入するのは損というイメージが強くなるので、Googleとしては余計にセールをやらなければいけないことになり、どんどん負のスパイラルに入っていると考えることができます。

GoogleはAppleからシェアを奪還することでAndroidのシェアを拡大するためにプレミアム部門をより強化していますが、プロモーションの影響でAppleとはむしろ逆のイメージになっています。

市場価値の崩壊。

また新製品の発表に合わせてセールが開催されることからも最初から安く購入することができます。一方で言い方を悪くすれば最初からいきなり市場価値の崩壊に繋がる可能性があります。

またセールが頻繁に行われることからもユーザーからすればセールのタイミングに買うのは前提としても買い時が分からなくなるのもデメリットだと思います。何よりiPhoneの強みの一つとしてブランド価値が高いことからも中古市場においても値崩れがしにくいです。

つまりユーザーからすれば手元の機種をより高く売却しやすくなるので機種の買い替えもしやすくなりますが、Pixelの場合は市場価値が下がりやすいのでリセールバリューに期待することができず、そうなるとGoogle Storeの施策に依存するしかない状況になります。

ただ補足としてアメリカの市場調査結果によると、iPhoneはAIに弱いことからも市場価値が以前と比較すると圧倒的に下がりやすくなっており、逆にAIに力を入れているGalaxyやPixelは市場価値が下がりにくくなっています。

おそらく今後はアップデートサポート期間が長いことに加え、AIをどれだけ使えるかが市場価値において重要になるのかもしれません。このままの傾向が続くと今後数年でiPhoneよりGalaxyの方が市場価値が高くなると言われています。

価格勝負になってしまう。

そして3つ目としては「安売り」を乱発することで購入するユーザー層が偏ってしまう可能性があることです。GoogleとしてはAndroidのシェアを拡大した上で自社サービスを利用してもらうことで収益をより拡大するのがおそらく狙いです。

ただ安売りしたことで購入した層の多くは、「Pixel」や「Google」などに興味があるのではなく単純に「安いスマホ」だから買ったということになります。そうなるとGoogleのサービスに課金してくれる可能性は低く、またPixelのファンになりにくい感じです。

結局ブランドロイヤリティの改善につながらないのではあれば、ある程度シェアを維持するには端末をばら撒き続ける必要があります。そして価格勝負になると国内でみればOppoにXiaomiなど中華系と勝負する必要がありますが、スペック部分では勝負にはならないです。

また国内でみるとPixelの販売のほとんどはキャリアに依存しており、ブランドロイヤリティが育たないと、Pixelだから買っているというよりは安いスマホだから買っている層が増え、結果キャリアにいかに売ってもらえるかが勝負にとキャリア依存の販売方式になってしまう可能性があります。

少なくともGoogleのハード部門単体でみた時に黒字である可能性は低いと思っており、いつまでも安売りを継続するわけにはいかないと思います。ただ安売りはいつかのタイミングでやめる必要があるので、Googleとしてはどこかのタイミングで苦渋の決断が必要になるのかもしれません。