もう10年以上前の話になると思いますが、その当時Sonyはモバイル市場において「世界シェア3位」を目指すことを明らかにしていました。ただ残念なことに今や見る影もなく、現状世界2位であるAppleは年間で2億台以上出荷するのに対してSonyは300万台弱と雲泥の差です。
何より全盛期を支えたのがXperia Zシリーズでありながらも急激な失速を開始したのもXperia Zシリーズとなっています。ではなぜここまでXperiaは失速してしまったのか気になるところだと思います。
中華メーカーの台頭。
まずXperiaが大きく失速した理由の一つとして2010年代後半から中華メーカーが台頭したことが原因とも言われています。中華メーカーはSamsungやAppleにSonyと比較すると「薄利多売」方式を採用しており、Xiaomiに関しては端末から5%以上の利益をとらないことを明らかにしています。
そのため本体価格が非常に安く、特にアジアなど発展途上国においてじわじわとシェアを拡大して、今では「コスパがいい」とユーザーからの支持もかなり獲得しています。
一方でSonyに関して現行シリーズに移行した際に、Xperia Xシリーズは失敗だったことを明らかにしています。その理由としては台頭する中華メーカーに対してそこそこのスペックでそこそこの価格で売ればいいと市場のニーズを読み間違えたことです。
その結果全てが中途半端になりXperia Xシリーズでシェアはさらに減少しています。
販売チャネルの縛り。
また長らくキャリア主導で販売が行われてきたことからも、ある程度の販売を確保するためにはキャリアに依存するしかないです。そのためにキャリアの要望に応えるための端末開発が長らく続いており、AppleやGoogleなどと比較するとSIMフリーモデルの展開に大きな遅れが出たことも原因と言われています。
Xperiaはグローバルで販売していたにも関わらず、開発はキャリアの意思を尊重していたとも言われているので、グローバルでウケるはずがないです。またいざSIMフリーモデルの展開を開始しても、キャリアに配慮した結果なのかキャリアモデルと比較して発売時期に当初4ヶ月近くのタイムラグがありました。
それこそSIMフリーモデルが欲しいと思うユーザーは、熱心なSonyファンだった可能性がある中で、キャリアへの配慮を優先した結果SIMフリーモデルの売り上げも想定ほど伸びなかったとも言われています。
それこそ状況が変わったのはここ数年で、総務省のガイドラインからキャリアは以前のような割引が出来なくなった。そのため上位モデルを中心に売れなくなっている可能性があり、メーカーに対しての縛りも緩くなった可能性があるのかなと思います。
差別化の方向性。
現行シリーズは好きな人にとことん好きになってもらえるようにと、一般向けをやめニッチ向けのコンセプトを採用しています。またSonyのクリエイターからのフィードバックをもとに開発を進めているため、「スマホ」というよりは「専用機材」の側面が他社と比較するとちょっと強いです。
少なくともSonyファンにハマる仕様となっていましたが、単純にスマホとしてみた場合の完成度はGalaxyやiPhoneと比較すると劣る上で本体価格が高いと、かなりクセが強い機種として認識されるようになりました。
またiPhoneやGalaxyはトレンドやライフスタイルをアピールしていたのに対して、Xperiaは機能面を強調していたことでユーザーにあまり深くリーチ出来なかった可能性があり、マーケティングの問題もあったのではと指摘しています。
そもそもシェア拡大を優先するのであれば、今のコンセプトを採用するはずはなかったと思います。とはいえシェア減少につながった可能性があり、GalaxyやiPhoneと比較するとターゲット層はかなり限定されているのかなと思います。
今後の流れ。
Xperia 1Ⅵからは現行シリーズの大きな特徴だったアスペクト比21:9の廃止や、オーバースペックだと言われた4Kの廃止。また長年の問題だった電池持ちや発熱を改善したことで「スマホ」として底上げされたことで、より多くのユーザーが興味を持ったように感じます。
それこそXperia 1Ⅶで発生した文鎮化問題は残念でしたが、先日正式発表されたXperia 10Ⅶはデザイン刷新の恩恵も大きいのかXperia 10シリーズの中でもかなり評判がいいように感じます。
少なくとも利益重視のため、今後も安くしてシェア拡大を狙うことはないと思います。ただ下手に安売りせず着実にシェアを拡大することできれば、「Xperia」のブランド価値は少しずつ高くなっていくのかもしれません。
とはいえ全盛期のような勢いが今後戻ることはないのかなと思います。